ふは??と搖蕩ふ命その中でも一際燦めく命が或る世界にぶつかり、溶ゆく。其の命は、綺羅を纏ひたるかはゆき淫魔の爲體をば得て、之の世に生を受けた。今日は其の魂の生き様を見てゆこう。 皇紀一京八千四百五十七兆六千八百二十四億八十六万三千六十四年八月一日 私は鬱蒼と爲た森の中に有る城の絢爛な寝臺の上で目覺めた。 眩暈が爲る。頭が痛し。私は誰で此處は何処だらう。樣々な思考が頭を過る。氣持ち惡い。 私が悶えてゐると、其の内に睡魔が遣つて來たので其れに身を任せ、眠る事とした。 「お休み」 皇紀一京八千四百五十七兆六千八百二十四億八十六万三千六十四年八月四日 私は陽光を浴び、欠伸混じりに目覺めた。 「ふわあ、お早う」 身躰を起こし、邊りを見渡した。然う爲ると其處には将に王侯貴族の寝室と言ふべき光景が広がりてゐた。 調度の一つ??が上品で、私が素人目で見ても分る程金が掛かりて居ると言ふ事が見て取れた。 「凄い、綺麗」 之程の物を持てる家ならば使用人が居るだらう。斯く考へた私は使用人を呼ぶ事に爲た。 「おゝい、何方か」 幾度呼ぼうどもそれらしき者は現れぬ。私は立ち上がり、之の部屋を探索してみる事とした。 先ず肇めは机に在つた本を見てみる事と爲た。少女の手記の樣だ。 「皇紀二千五百二十九兆八千四十二億千六百万五千二十四年四月一日 お父樣が今日から之のお城で暮らせと曰ふの。新たしいお城、楽しみだわ。 四月三日 お城の皆がおかしくなつた。なんで。 五月二十日 之の城の光景は将に死屍累々と言ふべき慘劇だ。皆所構わず目合ひ、腰を打ち付けるようになっちゃった。もう其れだけしか考へて居ない樣だ。もうお城の誰もお仕事していない。だけど美味しい。美味しい。美味しい。私のせいだ。どうして私はこんな化け物になつちゃたんだろう。私は悪い事なんて何一つして居ないのに。運命とはかくも殘酷な物なのか。鳩のぴーちやんに之の事を傳へるお手紙をお父樣の下へ送ってもらう。これでお父樣がなんとか爲て呉れて皆も私も元通りになってまた樂しく過ごせたらいいな。 六月十八日 皆干からびて骨だけになつて死んだ。其れとは反対に私は元氣が溢れて。こんな化け物なんかになりたくなかった。大好きな海の藻屑と爲りたい。 七月四日 羽と尻尾が生えてきた。切り落としてもまた生えてくる。悍ましい。 私、化け物になつちやつたんだ。然う思ふとあのおいしさが遠くの方から届く感覺に氣づく。きつと他の誰かの命を今も奪ひ續けて居るんだ。私が生きて居る限り悲劇は止まない。 何方か私を殺して私を止めて。 八月十五日 城の扉を叩くような音と彼の厭な感じがして、開けて見てみたら其處には痩せ細り、木乃伊の樣に爲つた人の?と大事そうに抱えられたる櫛笥が在つた。 櫛笥を開けると其處には簪があつた。 きっとお父樣が私のためを惟ひて作りて呉れたんだ。 私の好きな貝の形だ。私は其れを見るなり昔日の追懐に一筋の涙を流した。 然れど私は生きて居るだけで人の命を吸ふ化け物。世の中の爲に私なんて、往ぬ方が良きのだ。 八月十六日 今日姿見を見ると其處にはかはゆき少女が映りてゐた。 人の精を啜つた身躰は齢に見合はぬ肉感的な魅力を放ち、見る者總てを虜にする魔性の物へと成り果てた。 私の中に其れを惡く無きと思ひて居る私が居る。 心迄斯く爲るのは厭だ。 私の後始末は私がつける。 私は明日自分を魔法に掛けて、海に沈めるつもりだ。お父樣、ありがとう。そしてさようなら。私の事は気に病まないでください。 八月十七日 海の中で息が出來る。死ねなかつた。なんで??なんで??。 幸い魔力はたくさんある。いろいろ試していけば孰れ死ねるでしよ。 九月二十四日 火炙りや木の杭、銀の彈丸、反物質砲、量子ゆらぎ操作、等思いつく物は全部やつた。でも死なない。 此の後私は如何したらいいのだらう。 十二月六日 夢の中だとお父樣やお城の皆に會へるけれど目を開けると皆居無くなりて仕舞ふ。 こんな日常に嫌気が差した私はずつと??皆に会へる魔法を作り始めた。 皇紀二千五百二十九兆八千四十二億千六百万五千二十五年二月五日 できた。おやすみ」 其處には拙き文字で斯く綴られて居た。 私はそつと手記を閉づと、洋服箪笥を物色しようと其方の方へ向かつた 其の箪笥には私が今著てゐる樣なこれでもかと言ふほど襞の入つてゐる縁飾りが附いたかはゆいお洋服が一杯入つてゐた。 之の部屋の主は之の樣な服が趣味なので有らうか。 一通りの部屋の探索を終へた私は之の部屋の扉を開け、之の部屋の外を見て回ることに。 部屋を出て城を一通り見て回る途中で私は或る部屋の扉を開いた。其れが取り返しの附かぬ選擇で、私の魂に消ゆ事の無き記憶を刻む事に爲るとは、私は之の時知ら無かつた。 其の部屋は湯殿だつた。然れど著目爲べきは其處では無い。其の部屋には鏡が設けられて居た。 「ふぁゝあ」 鏡を覗き込んだ瞬間私の眼は鏡にいや正確に言ふと鏡のある一點に釘附けになつて居た。 「かはゆい」 其處には金絲の樣なふは??とした撫でたくなる樣な髮、目は透き通る樣な紅玉色、其爲て白磁の樣な白き肌をした御貴族様の樣な私を包むのはひら??してゐてお腹がきゆつとリボンで締め附けられてゐて、其して鴇色や梔色、其れに藤色等のかはゆき色でいつぱいな御人形さんの樣な装束。唯少し胸元が開きて居て、恥ずかしき氣持ちが有る。然し其れを補ひて餘り有るほどかはゆきのだ。 其して私の頭の天邊には貝の形をした簪で留められた髪がくる??と纏められてゐて其處より幾らかの猫つ毛の束が簾の樣に頭より牀迄を覆う。之ほどかはゆし私の姿に私はすつかりめろ??だ。 はつと私の頭の中に或る壹??つの考へが浮かんだ。之の簪を外した私は如何樣な姿なのだらうと。斯く思つた私は髪に刺さつてゐた簪を髪から引き拔いた。 然う爲て暫く經つと潮の樣な薰りが何處からか漂つてきた。其の薰りを嗅いだ私は鏡の私が愛しくて??堪ら無く爲った。斯くして私は私を恋ひた。其れに依りてか躰が熱くなり、股に有る割れ目より透明な黏り氣の有る蜜の樣な液體が伝つてきた。其の蜜は下穿きを着けてゐなかつた私の太股を伝い、止め處なく流れて往く。 「あふ」 身躰が熱い。胸が服に擦りてきもちいい。一層強い刺激が欲しく、觸れとう。私は其の衝動に驅られ、装ひの上から拙き手附きで胸を觸り始めた。我慢できずに服を開けてでも触らうとする私かはゆし。 「あつ」 胸を揉みて見ると胸より身躰全体にぞく??とした感覺が伝わつてきて気持ち良い。鏡の中の私も恍惚の表情を浮かべながら己の胸を揉みてゐて、其れを觀ると心做しか少しぞく??と爲た感覺も強まつてくる樣な感じが爲る。私のお胸柔らかい。お餠みたいだ 「お洋服もかはゆいしお胸を触らうとして我慢できない所もかはゆい。私好き????」 斯く獨り言を言ひ乍ら胸をば揉みてゐると潮の樣な薰りが強まり、割れ目より綿綿と流る蜜の流量も漸次多く爲つて行きた。「気持ちいゝ」。?燭の明かりが淫らに私を照らし、私は牀へへたり込み、楽な姿勢でお胸を触り続けようと爲た。 「ゆひあ」 然れど其の時蹣跚けて倒れそうに爲り、躰を支へようと爲た時お胸を強く握って仕舞ひ、蹌踉けた。幸い怪我は無かったが、胸を揉んでゐた時に貯まってゐたぞく??が壹氣に解放爲れる樣な心地よい感覺に胸の先より出た甘き匂ひの爲る白き乳と蜜が私のかはゆき御洋服を染めて行つた。 「私、御洋服を汚してしまつた」 其の後少し落ち着いた私はもう之以上御洋服を汚さぬ爲に裳を捲り上げ、胸の邊りを開けさせた。鏡の中の私が斯くしてゐるのが迚も淫らで、かはゆくて、綺麗だつた。 驗しにお胸から出た甘き匂いの爲る乳を嘗めて見ると甘くて美味しくて、将に甘露と言ふのに相応しい樣な物だつた。私は暫しの間其れを嘗めるのに沈潜爲た。 斯く爲てゐると再び身躰の奧が火照つて行き、彼のぞく??とした感覺が戻つて來た。 「あひん」 再び胸を揉み始めれば先程とは違ひ、一度乳が出た故の事なのか其れとも御洋服を挾まず直に揉んでゐる故の事なのか揉むだけで胸の先より彼の甘露が湧き出て來て、私の乳房を滲ませて行く。鏡越しに覘??く其の姿は大変淫靡で、かはゆき物だつた。 「お胸にお乳が掛かってゐる私かはゆし。彼を一杯なめ回して結婚したい。鏡から出てきて私」 私は斯く言ひ乍らかはゆき綺羅を纏ひたる私の虚像を見遣ると、其處には私の姿に欲情し、祕蜜を股から流して居る私の姿があり。 私は好奇心より九分の期待と一分の不安を胸に、ひく??と蠢く花瓣に私の指を插入爲て見る事に爲た。 「ひん」 其處に私の指を插入した瞬間私の身躰は身を焦がす樣な快樂より逃れんとびくんと跳ねたが其の甲斐も無く、指はより深きところを抉りて私は身躰中を驅け巡るびり??とした快樂が身を焦がして、私は氣を失ひた。 然うして私が再び目を醒ました時、私の躰は酷い樣だった。髮にはべつとりと乳が附き、裳は捲れ上がり、胸から股迄の服は皺だつてゐた。私は其れを洗ひ流し、風爐に入り、湯冷めせぬ?に寝台にて眠るのだつた。 斯く爲て私は彼の快樂を識る事と爲つたのだ。 翌る日の彼誰時、鳥の囀りで私は目を醒ました。 「ふわあよく寝た」 昨夜は疲れてゐたのでぐつすり眠れて、心地好かつた。愛しむらくはかはゆき私の寢姿を観賞出來無かつた事だらうか。 「私の寝顔も絶対かはゆきのに見れ無きなんて」 朝の支度を爲乍ら斯く駄辯つて居る私かわゆし。 パニエで裳を膨らませ、フリルで一杯の胸元が鳥渡開きて居る樣な洋服に袖を通し、最後に貝の簪を着けたら完成だ。鏡の中の私かはゆし。こんなかはゆき私には名が必要だと思ひたて、私は私の見目に合ふ樣な名をうん??と唸り乍ら小一時間程考へ、結論を出した。 「決めた、私の名前はリヽイ」 私は日記の主の名前より取りてリヽイと名乘る事に爲た。 今之の時より私の名はリヽイだ。私の見目にぴつたのかわゆき名だと思ふ。之の名前を氣に入つた私は、跳ね回り、喜んだ。跳ね回つて喜ぶ私かはゆし。 今日は城の未だ見て無き部屋を見てみる事に爲よう。然う考へた私は、扉を開き、廊下を歩きて行くのだつた。 樣々な扉を開き回る中で、私は或る扉を開いた。其處は書齋であった。之の世界に關する知識を持たぬ私は、之の書齋の書物で之の世界の知識を得られぬかと有益な知識が書かれて居る書物を探して行くのだつた。 先ず手に取つたのは妖怪についてと言ふ書物だ。 其の書物には滑瓢、鬼、河童、一反木綿、鎌鼬等の定番のものから悪魔、吸血鬼や龍の樣な翼を生やした水の精霊メリユジーヌ等の事も書かれてゐた。眞に驚くべきは之の本に依ると之の世界には私が嘗てゐた科學に依り神祕が排された面白味の無き世界とは異なり、之れ等の神祕が本當にゐる樣たると言ふ事だ。幼き頃、其の樣な神祕に戀ひ焦がれた少年だった私は、外の世界に想ひを馳せ、胸を躍らせた。 頁を捲りて行く?に或る物語が目に入つた。 「神話『御伽噺の淫魔姫』 むかし??或る處に迚も??かはゆきお姫様ありけり。 其の御姫樣は自分の事をよく男だと言ひており、其の詞に違わず御?で、男どもに混じりて何時も遊びけり。然爲て、海が好きで、然る海の神より思はれたけり。 然れど十つに爲つた子供らが行ふ。自分と縁を深めた神と繋がり、寵を受ける、授寵の儀の日に悲劇は起きました。 其のお姫様は理を超え、異界の神と路を作り、其の児を身に宿して仕舞ひけり。 月日が流れ、お姫様は其の児を産み落としました。生まれてこし御姫様の児は女の貌を爲てゐました。然れど成長して行くにつれ、其の異常性を露はに爲て行きました。児の行く所は?く空氣感が淫らに変はつて行くのです。其れを見かねた王樣は其の児を檻に入れましたが其の児は檻より逃げ出しました。 其の児の末裔が今の淫魔です。 其の児を生んでしまつたお姫様は小さな森の中のお城に入られてしまいました。 然れど日に??お姫様の幽閉爲れた城の使用人がお姫様より漂ふ潮の樣な薰りによつて婚ぐ事しか考へるとこが出来無く爲り、城は宛ら歌垣を爲て居る樣な饗宴と爲つた。然も其れはお城の人だけでなく?お姫樣を識つて居る人に及んだ。狂宴は三日三晩續いた後、お城の人は皆御姫様に命を吸はれ不帰の客となりました。 変わり果てた城を見た所でお姫様は己が力を封ず爲に王樣に手紙を出し、王樣は命と引き換えに王家に伝はる祕寶『蓬莱の玉の枝』を姫の力を抑へる貝の容を爲た髪飾りに仕立て上げ、姫の力は収めたが、心優しき姫は自分に依りて死にて仕舞ひた人々を気に病み長き眠りに就きて仕舞ひました。お姫様は今も眠つて居ます。人は其のお姫様を御伽噺の淫魔姫と言ふのです」 私はそつと其の本を閉じた。 次に手に取つたのは題簽が掠れて居て讀めぬ本だ。其の本の表紙には半色の髪をした少女が自らの躰を貫き、赤き宝石の樣な物を隣に伏して居る小麦色の少女の口元に運んで居る情景が切り絵として描かれて居た。 「之の本は何なのかしらね。見た感じ寓話の樣な感じだけれど」 私は斯く言ひ乍ら、其の書物を開いた。すると其處には美しく、而して、儚き物語が綴られて居た。 其れを読み終わりし頃、私の頬には一粒の雫が伝つた。 「いい物語だつたわね」 其の噺は『つづく』と締められて居た。私は少し其の物語の世界を名残惜しく思つた。今に爲つてより思ふと之の砌、彼の物語の主人公に憧れの感情を居たのだらう。 私は之の本の続きを本棚をひつくり返す樣に探したが其れらしき本は見當たらなかつた。 其の次に手に取つたのは『基礎魔術二・海魔術入門Ⅰ』と言ふ本であつた。 「見た感じ魔術の教本らしいけれど、私にも出来るのかしらね」 私はさう言ふと頁を捲り、一番簡単然うな魔法を嘗試爲て見る事に爲た。 其の本に載つて居る居る數頁にも及ぶ呪文を唱ると手の先に其の本に載つて居た魔法記号が刻まれた陣が浮かび上がつてきて最後の句を唱へると目の前に液體の入つた瓶が出現爲た。 本に依ると瓶の中には媚藥が入つてゐる然うだが怖きので開かないでおこう。 「凄い本当に出来た。私にも魔法を使へるんだ」 私は幼き日に憧れた魔法が使へた事を跳ね回つて喜んだ。 其の後数冊の本を読み終えた頃、私は暫し本の海より離れて、城の探索を再開爲る事と爲た。 然うして扉を開けて回りて居ると、厨房の樣な所が在りた。 私が中に入ると其處は丸で私が主で在るかの樣に竃に火が付き、料理の準備を整へて呉れた。 「之で料理が作れるってこと」 其の一角には料理に附きて記されて居る本がある本棚が在りた。 私は其の中に在る鋤燒きと言ふ料理を作りて見る事に爲た。 先ず肉を食材置き場より取りて、庖丁を使ひて良き感じに薄く切りて、其れを鍋へと入れ、鍋に酒を注ぎたら野菜や椎茸然爲て豆腐を入れ、適当に醤油と味醂と砂糖を入れ暫く待ちたら完成だ。 完成した鋤燒きからは美味し然うな匂ひが爲て、お腹が空きて來る。 「頂きます。おいしい」卵を潛らせ肉を食ぶと口の中に旨味が溢れてきた。私は其れに釣られる儘口に肉と野菜を入れて行き。具も残り僅かと爲つた。 最後は〆の饂飩だ。予め茹でて置きた饂飩を鍋に入れ再び鍋に入れ、暫く待ちた。食べて見た。美味しかつた。 「こんな美味しい料理初めて。もうずつと之食べる」 今日より暫しの間晩飯はずつと鋤燒きとなつた. 何故か食材置き場に在りた食材は使ひても減らぬらしい。 其れより私は魔法の教本を手に魔法を研鑽する日々を重ね、其れが日常になつた頃。私は或る理由で旅に出る事に爲た。 皇紀一京八千四百五十七兆六千八百二十四億八十六万五千六十六年六月二十四日 昧爽に私は寢臺より出ると、先ず鏡の中のベビードールを着たかはゆき私を見た。 「鏡の中の私かはゆいなあ」 斯く呟くと私は旅支度を始めた。 先ずは髪を梳かして、お氣に入りの貝の簪を附くたらもう一度鏡を見た。其處にはかはゆき私が居た 御洋服を着てリボンをきゆつと締め、荷物を纏めたら完成だ。鏡を見た。私かはゆし。 然う今日は私が決めた、斯??の城を出て、羈旅爲る日だ。何故然う爲るかのかと言ふと、単純に飽きたのだ。 何に飽きたかと言ふと料理にだ。新しく入りて來る料理が無きのだから之も仕方なき事かと思ふ。 此の二年弱で樣々な事があつた。書齋の本を読み切り、本にある魔術なら使へる樣になつた、地下室へと繋??がる城の隠し扉を見附け、其の奧を探索し、橫に亡き父母より私へ宛てた手紙がおかれてゐる一振りのかわゆき私に合ふ杖を受け繼ぎた。 然うして玄關まで來た私は扉を開け、之の世界での物語の一絲目を紡ぎ出した。 此の城の外には如何樣な世界が広がりて居るのだらうか。然う思ふと胸の奥よりわく??と爲た氣持ちが込み上げてくる。私は赫赫とした日差しを浴び乍ら今、飛び立ちた。 然うして城を飛び出し、暫し森の中を彷徨ひて居ると、大きな路に突き當たつた。 其處には馬車と其れを取り圍む五十人程の男等の姿があった。 木陰に隱れ、樣子を窺ひて居ると、男等は、己が手に刃を携へて、馬車を襲ひて居る樣だつた。 馬車の側には下位貴族らしき少女がゐて、剣を持ち上ぐのも思點かぬ手で体格に見合はぬ刃を構え、震へた目で男等を睨み附けてゐた。 「お前らの護衞を爲てゐた騎士は往にたり。爾も乃公らが楽しんだ後彼奴と共に往なせて遣る」 斯く血に染まつた刃を持つた男が?言爲、橫に倒れ臥す板金鎧を踏み附けた。 其れに下位貴族らしき少女は「エ?リスト、大きくなつたら私の、いや私だけの騎士爲つて私をずつと守つて呉れるって小さい頃からずつと言つて居たよね。私を、私を守つてよエ?リスト」と啜り泣き乍ら命知らずにも男達の中に突つ込むが、其の刃先は虚しく空を切るばかりで少女の身躰には傷許りが増えて行く樣だ。 然う斯う爲るうちに少女は蹌踉めき、板金鎧に覆い被さる樣に爲て仆れた。 仆れた少女とは裏腹に男等は、少女を手篭めに爲ようと動き出してゐる。 私は其の樣子に居ても立つても居られず飛び出した。 男等は亂入爲た私を見るなりじろ??と嘗め回す樣な嫌な目で私を觀て、「之奴は上玉だな」や「之奴も手篭めにして遣らうぜ」等と取らぬ狸の皮算用を爲てゐた。 私は男等の間に割つて入ると、魔術『降霊、十掬剣』を使ひて、杖に刃を作り出し、男等の方へと向けた。 「魔術師か。おい手前ら氣を附けろよ」と先程?言爲た男が警告を發した。 杖の刃の切れ味は相當良きらしく、劍術に関しては素人同然の私でも男等を得物ごとばつた??と切り倒し、もう少しで勝て然うと言言ふ處で事件は起きた。或る男の振るつた手が、私の貝の簪を彈き飛ばしたのだ。 然うすると男等が突如と爲て、鎧を脱ぎ始め、鎧を脱ぎ終わると服まで脱ぎ始めた。 然爲て其れに私が呆然と爲てゐる間に獸の樣に《《盛り始めた》》。 陰部を摩擦爲て居る男や、男同士で始めて居る男、然爲て少女を襲ひに行く男等形は違へど、其れ等總てが熱に浮かされた樣に心此處に在らずと言つた感じで淫らな事を爲てゐて、恰も人形の事を見てゐるかの樣だつた。 人形達は、傷だらけの少女を強引に板金鎧より引き剥がし、服を剥ぎ取ると、いたい??と叫ぶ聲を無視爲て、未だ熟して居無き少女へ獸??慾の或る壹??つの表象を突き込み、少女を穢して行つた。 然し其の樣に手篭めに爲れて居る少女も滿更でも無さ然うな表情を浮かべ、「やっあっかれりゆんをころんつしたやつあゝのなんかいやあゝつなのにりゃん氣持ちひゃんいあんい」と口先では嫌がり乍らも其の他の男等の《《手傳ひ》》を爲てゐたと男等の物を受け入れてゐる樣だつた。 私の方を襲わんと爲る男もゐたが、私の方を見るなり、「かはゆい??」としか言はなく爲り、其れしか考へて居ない樣だ。然し私は姿勢を崩して、転げ、其の場に轉びて仕舞ひた。 私のかわゆき??服が汚れるのが厭なので土を払ひ落として居ると、何やら少女の方より私の臍の下へぽか??と爲た何か送られて來る樣な感覺が爲たので何故かと惟ひ、其方の方を見た。 爲ると、少女の側の男等が何故だか精氣を吸われたかの樣にげつそりと爲た樣子で、少女を犯し続けて居る。少女の方は男等とは裏腹に生き生きとした樣子で其れを受け容れ、樂し然うに爲てゐる。 其れを見、唐突に起きた衝き動かす樣な其れに混ざりたいと言ふ衝動に驅られた私は少女の下に趣き男等を払ひ除け、胸の邊りを開けさせ、少女の口に祕蕾を銜へさせた。 然うすると、丸で赤子の樣に乳を吸ひ肇めた。私は少女に母性の樣な物を感じて居る私自身に驚いた。 然し少女は其の母性を裏切るかの樣に私の祕蕾を嘗め肇めた。少女に爲れるが儘に爲れる事に快感を憶ゆた私は我慢出来ず、頭の中を白く染めて行き、少女は彼の甘露を味はふ事となつた。 「あまい、おいしい、もっと頂戴」と少女が私の耳元で囁くと、私は再び乳を含まれ、其處よりは先の再演の樣に少女は夢中に爲つて私の乳を吸つた。彼のぽか??と爲た力が入りて來るかの樣な感覺が爲て、代はりに、私の身躰中より力が抜けた。 一通り私の乳を吸つて、元氣が湧きて來た少女は、男等の方へ向き直り、表象を咥へ込むと、再び盛り肇めた。 其の樣子は迚も美しかつた。私はそれに魅入られ、眺め續けた。 然し盛者必衰の理とは斯く言つた物で、其の狂宴にも終はる時が來るらしい。 肇まりは一人男からだった。それより少女と目合ひて居た男が斃れ、一人、亦一人と減つて行く。 それに氣づきた男が少女の側より逃れ樣と爲たが、身躰が動かぬ樣だ。 「拙い、身躰が動かぬ。汝何を爲た。答えよ」 少女は、男に跨がると、「えへゝ此處ですよ、ほら此處。此處に貴方の其の逞しき物を添えて」と言つて自分の下腹部を指した。 白に塗り潰された無垢は、其れでも無邪氣に求め續く。 「良く出來ましたね。偉い??」と言ふと、腰を落とし、其處に雄の象徴を銜へ込み、淫らに腰を振り肇めた。 然う爲て暫くすると、男は見る??痩せ細りて行き、終には骨許りに爲りて息絶ゆた。 其れを見屆けた私は意識を失つたらしく、其處から先の記憶は飛びで居る。 目を醒ますと、男等は干からびた樣に死んで居て、之の状況の原因が解せずに、困惑して居ると、少女を見附けた。貝の簪を拾ひ、少女の方へ行くと、少女は斯く獨語爲てゐた。 「全く、甲斐性の無き男達ですね。男なら音を上げず、女が求める儘に、差し出せば良きのに」 其の樣な事を言つて居る少女に後ろから聲を掛くと「ひゅい」と驚きながら之方へ向き直つた。 少女は少々氣不味然うな表情を浮かべ、斯く辯ずた。 「えゝつと、私助けようと爲て呉れた人ですよね。在りがたう御座います。何か爲てほしい事があらば言つて下さいね。私ができる範囲ならお手傳い爲ますから」 私は其の話に乗つかり、城を出た目的を話してみる事に爲た。 「えつとね、私お城にすんでたの。でもねお城にはね、私一人しか居なくてね、それでね、食べるもの無くなりてね」 と之の樣な調子で話をして居ると、少女は、頷き、「それでは私が之の馬車で都まで送りませうか」と言ひた。 私は少女の馬車に乗り込んだ。 然うして私等は話を爲乍ら數刻の間馬車に揺られ、都へと至りた。道中幾度か關所が有り、女の二人旅と言ふ事で訝られ、停めらる事が有つたものの、少女が潘士に連れられ暫く爲ると、精の匂ひを纏ひた少女が獨りで戻りて、通つて良きと言ふので、其の侭檢めらる事無く、此處で止められ、食糧を確保出來ないのでは無きかと言ふ心配は杞憂に終わりた。 關所の話は之位に爲て於きて、都の話を爲よう。石垣が聳ゆ都の中心には大きな教会が有り、其處より路が延びてゐて其の兩鄰には店や路地等が在り、活氣に滿ち溢れてゐる。 「此處が之の國の京よ。如何、凄いでしよう」 少女は斯く言ふと「それでは私は用事が在るので、此處で。お父様にも伝へておきます」と去りて行きた。 私は路銀を稼ぐ事に爲た。然し物心附きた時より城で過ごして來た私は、如何に爲て稼ぐのか解らぬ。 其處で道行く女を呼び止め、路銀を稼ぐ手段に附きて、訪ねた。 然爲れば女は、路を三つ勾り、暫く進むと、大きな建物が在りて其處に入ると仕事が有ると言ひた。 私は女に礼を言ひ、その通りに進み、建物をば見附けた。其の建物の札には「冒険者組合」と書かれて居たる。 中に入ると其處には依頼らしき物の成就条件と其れが達成爲れた時に貰へる紙が沢山張られた石膏板が在り、其の前には多くの人が集まり競ひて紙を取りてゐて、殷賑としてゐた。 而して其の橫には幾らか受附が在り、各?が持ち寄りた物を銭へと換へてゐる。 私は受附に赴きて、受附の女に此處では如何樣な仕事が有るのかと聞きた。 女は怪物退治の仕事や薬草採取の仕事等を教へて呉れた。 私は其れ等の仕事を受けようと爲た。 然し女はこれらの仕事を請くには、此の組合に登録せねば爲らぬと言ふ。更に女が言ふには此の組合は樣々な宇宙に支部が在りてこの建物も其の支部の一つであり、此の組合の組合証は宇宙を旅爲る時に手形の代わりと爲て役立つらしい。 私は暫し考へ、今後の爲にも此の組合に登録する事に爲た。 其の事を女に伝ふと女は登録作業と言ふ物を肇めるらしい。 「何か罪を犯しただとか然う言ふ事があらば言ひてください。其の樣な事を隱し立てするのは重罪ですよ。」 「此の都で何が罪なのかは知らぬが多分無きと思ふ」 「では先ず此の玻?玉に手を翳して下さい。之により魔法を使へるかや其の力が解ります」 女が勧む儘玻?玉に手を翳すと、刹那の間玻?玉が丸で臨界事故のチエレンコフ光の樣に晃晃と青く輝き、然爲て糸が切れる樣にと消ゆた。 「えつとこの色は、海属性ですね。魔法が使える樣です。其れもかなり強き物をお持ちの樣ですね」 女は斯く言ふと高い魔法の教習講座を勸めて來た。 私が「本で独学したので」とやんわりと断ると女は諦めた樣に私に魔法の属性や名前等が記載された骨牌の樣な物を渡してきた。 「此方が組合証になります」 「此の手續きは之で終はりですか」 女は輕く依頼の受け方を説明爲た。 「はい。之より依頼が受けられる樣に爲ります。亦之は樣々な場所で使へるので肌身離さずもちて居て下さいね」 斯く爲て此の組合の一員と爲りた私は肇に私にも出來然うな依頼より受けてみる事にした。 「森の焼滅、之は駄目。世界の破壊、之も出來ない。もう少し私みたいなひとにも行へうるものは」 然う爲て残りたのが。都の外に行き、淫魔を討滅する依賴でした。 その依賴を受く爲に受附に赴けば女は私の行く末を慮る樣に「之受けるの。辭めておいた方が良いつて。貴方、女の子で若いぢや無い。こんな危ないのを」 然うは言ひても私に行へ然うな物は之を置きて他に無き、之を爲無くば明日の宿も儘ならぬのだ。 此方の事情を話すと女は渋々と言つた樣子で判を押し、淫魔の特?や見分け方、然爲て生まれ持つて居る魅了の力への対抗方法を教へて呉れた。 淫魔を討滅しに其れが現はれたと言ふ野山へ向かひき。 其處で其の生き物は驚き桃の木山椒の木と言ひた樣子で此方を見て居る薄紅色の髪に同じ色を爲た瞳を持つた妙な色氣が在る妖しき童女と出逢ひた。 「おひめさまだ」 童女は私の方に嬉しそうに駆け寄りてきた。 私は其れが斃すべき敵とだと解りつゝも自分に向けて無邪気な體で驅け寄りて來る童女に刃を向けられず、其の儘童女に抱き附かれて仕舞ひた。 「かはゆい。ほんとにいたんだ。わたしたちのおひめさま」 慌てゝ振りほどこうと爲るが、力が入らない。童女に肉を押し附けられ、其の柔らな肌の感触に私はくら??爲て仕舞ふ。 「おひめさまはうぶなの」 童女は私を甘やかす樣に抱き附き、私を見詰め。 「なでたげる」 私は爲されるが儘頭を撫でられ、蕩けて居ると、不意に耳をば嘗められた。 「ひゆい」 唐突な刺激で軽く達して仕舞ひた。 「かはゆい」 童女は其れを解りて居る樣に頭を撫で、私を愛づ。 私は童女の愛撫に溺れて仕舞ひ、何時しか抵抗を辭めて居た。 「おひめさま」 口に乳房をば含ませて、あやす樣に私の背中をとん??と叩き、私に吸はす。 「ふゝ、かはゆいおひめさま」 童女は其の奧に淫靡な表情を浮かべ乍ら蕩けて居る私の服を開けさせ、「なにかがおかしいとおもつたらこんなのつけていたの。おひめさまにこんなのはにあわない。とつたげる」と言ひて貝の簪を抜き取ると何處かに放り投げた。 私は其れを取りに行かんと爲たが、身躰が上手く動かない。お氣に入りの髪飾りを打ち捨てられた私は童女をじつと觀て、無言の抗議を爲たり。 然し童女は其れに構はず、私の服を開けさせ、乳房を揉みしだく。 「ゆいん」 「おひめさまかはゆい????。わたしみたいなちからなきいんまにまけちゃうところもかはゆいし、わたしのとりこになっちゃってゐるところもかはゆい」 童女は己が虜に爲りたる私を母より受け繼ぎたる淫蕩の瞳で見詰め、私に向かつて斯く言ひたり。 「だから」 「わたしのものになって」 私はゆら??と熱に浮か爲れた頭で何も解らずに少し首を傾ける。 其れを肯ひと取りたりか、童女は私への攻めを強めて往く。 「あゝもうおひめさまかはゆすぎる」 童女は斯く言ひ私の裳を捲り上げ、私より滴り落つ蜜を嘗めたり。 蜜を舌先で暫し翫び咽下したる童女は忽ち宛ら渇きて居るかの樣に一心不亂に嘗め続ける。 其の樣子を観たりて少し童女に惡戲爲たく爲りき私は童女の顔へと花瓣を押し附けたり。然う爲ると息が出來無く爲りたる童女は濱へ打ち上げられたる魚の樣に外氣を求めじたばたと私の花瓣より逃れ樣と爲てゐる。 斯樣な童女を哀れに思ひたる私は童女の花瓣へと食指を這はせ、貫きたり。 然う爲ると童女の身躰がびくんと跳ね、指を締め付けて來たる。 其の感觸は一撫でで老若男女を快樂へと誘ふと言はれる淫魔らしく迚??も淫猥で、私の指が丸で女と婚ぐ爲の物に爲りたる樣な感じが爲て、私は蜜を滴らせ乍ら力が抜け、心地よい墮落へと身を落とした。 其の餘韻に浸りて居る間に私を押しのけ、起き上がりた童女は斯く誘ひたり。 「ようやくおひめさまもやるきになってくれた。それぢやあはじめましよ」 其れに頷くと童女は愛撫を肇たり。私は唯々童女の愛撫に身を委ね、悦樂をば貪りき。 斯く爲てゐると童女は蕩けたる私の手に淫らな花瓣を押し附け乍ら斯く求めき。 「おひめさまやられてばかりぢやなくてわたしにもやつて」 見遣ると童女はひく??と花瓣より蜜をば垂らしたる。 然様な姿に慾情爲た私は、蕩けて力が入らぬ身躰に鞭打ちて童女を押し倒すと、花瓣同士を摺り合はせた。 童女は余裕然うな顔浮かべ斯く誘うやうな聲で私の耳許で私語きけり。 「ひつしにわたしをなぐさめようとするおひめさまかはゆい」 私は童女を此の手で囀らしめむと、腰を動かし始めた。 然う爲ると躰がはびくと跳ねたり。 「うぶなおひめさまのつたなきこしつかひ、これもまたよきね」 童女は斯く言ふと転と私の視界を飜し、反轉攻勢を仕掛けたり。 然うして幾度か交代を挾みつゝも私達の交はりは一晩中続きたり。斯くして心を繋げた私達は婚ぎ續けた。 婚爲たる私達は宛ら彫像の樣に見る者總てを虜に爲る有樣で、其の婚は永久に続くかと思はれた。 然れど諸行無常と言ふ樣に遍く行ひには孰れ終はりが來る。私達の婚に就きて言へば其の終はりの時は案外近く有つた。 私達が出会ひて一月ほど經ちたる頃、正確に言ふと皇紀一京八千四百五十七兆六千八百二十四億八十六万五千六十六年の七夕の日、織姫と彦星が年に一度会へる日に奇縁にも事變は興りた。 私達が何時もの樣に婚ぎてゐると、童女は見るからに弱りて行きたり。童女が言ふには私に精氣を吸はれて居るらし。止める方法を童女に聞くも童女は「わたしはねおひめさまのえさになれてしあわせだよ」と言ひて聞かぬ。目合ひを通じて精氣を吸ひて居るのかと思ひ、目合ひを辭めようと爲るも、身躰が思ひたる通りに動かぬ。 然う爲て數日目合ひ續けて居ると突然童女はびくん??と痙攣爲乍ら身躰が解けて行く樣に半透明になりて其して消えたり。然爲て私に彼の娘の殘滓が溶ゆく樣な暖かき感覺を感じたり。 私は其処彼処が痛む身躰と童女の事を偲ぶ心へ鞭打ち、都へと戻りたり。 然爲て冒険者組合の受附で依賴の達成報告丈??を爲て得た金で其の侭宿屋を取り、其の侭部屋へと閉ぢ籠もりた。 然う爲て彼の娘を忍び續けて居た。彼の娘が討滅対象爲りきとは言へ一月中婚ぎた相手への情は然う簡單には消えぬのだ。然うして二月の時が經ちた。 皇紀一京八千四百五十七兆六千八百二十四億八十六万五千六十六年九月五日 外より聴こゆ嬌聲で私は目を覚ました。彼の潮に薰りが爲る。 何事かと外を見遣ると其處には将に凄慘たる有樣が廣がりたりき。 何處を見渡しても男と女が目合ひてゐる。 外へ出て話しかけてみるも婚ぐ事しか考へられぬのか、意味の有る返答が歸りて来ぬ。 私は此の状況をどうにかする爲私以外の正氣の人を探し、町中を練り囘りたり。 然う爲て探し囘りてゐると、或る館より悲鳴が聞こえたり。 私が其の館の扉を蹴破り、中へ入ると其處には怯えた幼女と其れに襲い掛からんとする一人の使用人らしき男男がゐたり。 男は都に溢れたる獸の樣に婚ぐ事しか考へられぬ樣子なので男へと魔法の刃を下し、未だ自意識が殘りて居然うな幼女に名前を聞きたり。然う爲ると幼女は斯く名乘りたり。 「私の名前はフエエ。此處の都の統治を任された貴族の娘。お父樣とお母樣は狂つてしまつてもういないわ。あなたは」 私は輕く今囘の經緯を話し、自己紹介を爲たり。然うして此の?に就いて何を知りて居るかを聞きき。 フエエは斯く語りき。 「朝起きたら潮見たいな薰りが爲て其の薰りを嗅ぐと嗅ぐと男も女も婚ぐ事しか考へられぬ樣に爲つて終ふ見たいなの。私は何故だか大丈夫みたい。最初は薰りも弱かつたのだけれどどん??強くなつてきて。それよりありがとう私を救ひ給ひて。若し良ければだけど私のお姉ちやんになつて下さい。両親は」 私はフエエの姉に爲ると言ふ提案を快く受け容れた何故ならフエエは家族が居無くなり、淋し然うに爲てゐた爲だ。 然爲てフエエと?により有樣をかへた都の一角で?の原因とされる潮の薰りについて思ひ巡らせたり。然うすれば記憶の中では彼の匂ひは貝の簪を外した私より出て居る事に氣づきた。 其の後私は彼の淫魔と肇めて会うた場所へ行き、其れに関する簪を取り戻す羽目になるのだがこの余白はそれを書くには狭すぎるので其れは亦別の話で。 つづく |